忘年会2

ウェルカムドリンクとしてワインかソフトドリンクか選択できたのだが、内定者は自分以外ソフトドリンクを選択していた。

自分はおそらく貧乏性なのでタダ酒が飲めるなら飲まない手はないと思ったのだが、他の人にはそういう発想がないのかもしれない。

話を聞いてみると、どうやらお酒が苦手だったり、お酒は飲めるがワインが苦手らしい。みんな健全である。そもそもこんな畏まった場でタダ酒に喜んでる人間の方が頭がおかしいような気もする。

 

ただそのテーブルにいた社員さんの2人がお酒好きだったらしく話は弾んだ。もう一人のイケメン高身長でちょいチャラそうな男性社員がお酒苦手と言っていたので意外だった。こうやってギャップ見せてモテるんだろうなあと思った。

 

テーブルでは色々と話をしたのだが、女性社員が妙に馴れ馴れしかった。

「馴れ馴れしかった」という感情を抱いたのは確かなのだが、恐らく語弊があって、普段自分の周りにそういう積極的に話しかけてくる女性がいないだけで世間には普通にいるのだろうと後になって気づいた。

 

その女性社員の方とは初対面だったのだが、まったく初対面感がなかった。

こういう場だと内定者に対して質問責めをしてしまいそうなものだが、まったくそういうことがなく、

「同期の男性社員の受け答えが雑でかなしい」「憧れの先輩と写真撮ってもらっちゃった」

など、「いやそれ初対面の内定者に言うことか?」みたいなことを色々と言われた。自分にとっては未知との遭遇みたいな感じで楽しかった。

 

唯一もらった助言といえば、色々と断るのが楽だから社内では彼女がいることにしておいた方がいい、ということだった。というわけであと数ヶ月で空想上の彼女を作らねばならない。

 

パーティーの中盤にOBの方に声をかけられた。その人は姓名判断を趣味でやっているらしく、どうやら内定者の中で自分の画数がよかったらしい(参加者には全員の名前が載った名簿が配られていた)。

苗字の最後の漢字と名前の最初の漢字の画数を足して1の桁が「1」だといいらしい。詳しくは忘れた。ただ30歳までは運がよくスイスイと物事が進むと言われた。確かに自分は努力もせず運だけでここまで来たので思わず信じてしまった。

 

OBの方に延々と話を聞かされ、テーブルに戻ると、例の女性社員から「営業お疲れ様!」と言われた。直属の部下にでもなった気分だ。初対面なのに。なんならその後、肩をポンポンと叩かれた。

 

世間は広いなあ、と思った。