勝手にふるえてろ

話題になっている「勝手にふるえてろ」をようやく見ることができた。

 

キラキラした恋愛が苦手な人間なのでとても性に合った内容だった。

というか松岡茉優さんは自分だった。自分がいつの間にか松岡茉優になっていた。松岡茉優に感情移入できる最高の映画。

 

自意識過剰、大勢の飲み会での挙動不審な行動、SNSをやらない理由、興味ない人と接するときの怪訝そうな表情、「ファック」の連呼、人見知りしてる時とそうでない時の声の感じ、共感できる部分は挙げたらキリがない(共感できても実際にするわけではないが)。

後半の家にずっといるシーンなんか引きこもりがちな時期の自分を見てるようだった。

過去の恋愛(?)に捉われているのもそう。過去好きになった人は現在を生きていて、「過去」のその人はもう存在しない。自分も過去好きになった人の幻影を追ってる節はあるような気がする。我ながら書いていて気持ちが悪い。

一番印象に残るのはやはり、「名前」だろう。「名前」はいろんな意味でこの作品にとって重要な部分。人の名前を呼ぶのが苦手だからといって「キミ」とか呼ぶのをやめようと思った。

実際、そこまで話したことのない人に名前を呼ばれると嬉しくなる。

 

 

映画は大抵一人で観に行くので、今回も一人で行った。日曜日だったこともあり、周りにはカップルや家族連れもいた。

ただ、この映画は1人で見るのに相応しい映画だと感じた。松岡茉優演じるヨシカはずっと1人、友だちがいないので。

見終わった後、カップルを見ながら、「お前らにはヨシカの気持ちなんて分からんだろうな」などと心の中で呟いた。家族連れに関してはなぜこの映画を選んだのだろうか。子どもが見てもおおよそ理解できない気がする。

自分の心に尖った松岡茉優が宿っていた。

 

そこから家に帰るわけだが、一人で歩くと松岡茉優ごっこをしてる気分になれて楽しい。ヨシカみたいな表情を思わずしてしまう。途中でカップルを見かけ「いやいや人間関係大変そうですなあ」などと思いながら家に帰った。家に帰っても一人でパソコンやスマホをいじってるだけで松岡茉優の気分になれる。あとはアンモナイトでもあれば完璧である。

 

独りであることでこの映画は味わい深くなるような気がする。ひとりぼっちが優越感に浸れる映画を作ってくれたことに感謝したい。というか世の中にまだこういう映画を作ってくれる人がいるというのでホッとする。腐りきった人、拗らせまくった人に見てほしい映画。

 

ただこの映画のメッセージとしては過去の恋愛(理想)との決別、クソみたいな現実と向き合うことだったりするわけで、ひとりぼっちでいることにこんなに満足してはいけないのだろう。

 

この映画のパンフレットを読んだ限り、この映画はヨシカに共感できる女子向け、みたいな感じだった。そういった意味では、映画を見ている間は完全に女子だった。イチはかっこいいし、ニはホント憎めない感じはするけどそうじゃないんだよなあ、などと心の中の松岡茉優が言っていた。残念ながら心に松岡茉優を宿したところで外見はキモ人間である。

どうせ独りで生きるなら松岡茉優になりたい。